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須田一政 Issei Suda 写真集「RUBBER」

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須田一政 写真集「RUBBER」

発行:PlaceM
発売:2012年12月1日
判型:W235mm x H205mm
デザイン:鈴木ー誌 + 桜井雄一郎
印刷・製本:株式会社 光陽社
ISBN:978-4-905360-03-02
価格:税抜4,800円

フェティシズムは多種多様である。その嗜好は幼年期、無意識のレベルで個々人に埋めつけられるというのだから、当然理性の及ぶ域ではない。
ラバー・フェチは言うまでもなくRUBBER(ゴム)製品に対するフェティシズムである。ラバリストはラバー素材を至上のエロスと崇める人たち を指す。(中略)
全身ラバースーツに覆われた奇妙な姿態。すべらかな頭部、ぬめり感のある光沢……その魅力を語りながらも、生憎私自身はラバリストではない。幼 い頃、疎開先で軍用のガスマスクを被って鼻血を出したとか、育った家の隣がゴムの会社で倉庫に忍び込んで遊んだとか、「変態野郎!」の罵声に甘ん じるヒーロー・バットマンが好きだとか、過去の体験と結び付けられなくもないが、視覚至上人間の私には触覚と嗅覚を優先するラバリストの根本的な 資質が欠けている。
作品のモデルが本物のラバリストであろうがなかろうが、私のなかではその辺のこだわりはなかった。自身の「なんかヘン」なモノへの過剰な興味、 質感の魅力を、視覚による快楽に昇華させるための撮影なのだ。ラバーの快感に倒錯するマニアを被写体とすることよりも、自らが倒錯した傍観者で在りたかったのである。異形なモノとなったモデルたちの戸惑いや感情の動きは、ラバーによって封印される。撮影の場は私の夢想の実現の場であり、こ の場で一番の至福を味わうのは自分なのだという強い願望があるのかもしれない。
元来、私は反射する光に特別な執着がある。ラバーの柔らかい照りと曲線の美しさは平面に移し変えてもより近いかたちで残したいと考えた。撮影は すべてポラロイドカメラによるものだ。ラバー素材を生かすポラロイドの生身感は、説明無用で頷いていただけるのではないかと思う。
制作から約20年、ラバーマスクは薄暗い保管庫の中で経年変化し、広げようとしても密着して剥がれない状態になっていた。それとは真逆に、デザ イナー・鈴木一誌氏のゴッドハンドによって再生したRUBBERが、私の想像を超えた姿で目前に横たわっている。秘かな道楽の後に待っていたのは 悲しい結末ばかりではないのである。
2012年12月 須田一政

プロフィール
須田一政(すだいっせい) Issei Suda
1940年東京・神田生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。演劇実験室・天井桟敷(寺山修司主宰)専属カメラマンを経て71年にフリーとなる。76年「風姿花伝」により日本写真協会賞新人賞、83年「物草拾遺」等により日本写真協会賞年度賞、85年「日常の断片」等により東川賞国内作家賞、97年「人間の記憶」により土門拳賞、2014年「凪の片」等により日本写真協会賞作家賞受賞。2019年3月7日千葉市にて逝去。

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